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解きたくない方程式『第三話:不定形な解』(百合こみゅ!画像二次)

投稿者:和算蛇人
2012/05/29 01:49 [ 修正 ]
「解きたくない方程式」シリーズです。
説明等は第一話をご覧下さい。
ちなみに、今回が一応最終話となります。
二人とも気に入ってますので、もしかしたら後日談を書くかもしれません。
*『第一話:方程式』
http://yuri-gl.com/txt/274.html
*『第二話:サワダーテ』
http://yuri-gl.com/txt/276.html
以下のイラストを見て、本シリーズを書きました。
はったん綾野 さんには一方的に感謝です!!
*せーらー
http://yuri-gl.com/art/120.html
*ちびっこ
http://yuri-gl.com/art/108.html
第三話:不定形な解
目を開けると、いつもの先輩が居た。
夢で見た先輩じゃなくて、現実の先輩。
「よ、かったッ」
夢では、目が覚めた時には、既に縛られてたから。
寮の部屋は燃えていて、逃げられないのが直ぐに分かる程だったから。
そして私の知らない先輩は、私の知らないやり方で、私に触れてきたの。
「どう、したの?」
現実の先輩は、私の知ってる先輩で。
その触れ方は、私の知ってるやり方で。
ホッっとするのと同時に、強烈な恐怖が襲ってきた。
だってあの夢は、現実になりそうだったから。
「……聞かせて、どんな夢を見たの?
話したく無かったら、無理には聞かないけどさ」
あぁ、いつもの先輩だ。
震える私の髪を、優しく梳いてくれる。
その指の感触が心地よくて、私はよりかかった。
ぴとん、とぶつかる、私の額と、先輩のほっぺ。
温かい体温が伝わってきて、堪えきれなくなった私は、一気に夢の内容を吐き出した。
「そう、そんな夢を……」
何かに耐えるような、何かを悔いるみたいな、そんな声音に、言わなければ良かったと思った。
だって、先輩を傷つけちゃったみたいだから。
先輩に甘えて、全て話しちゃったけど。
よく考えれば、恋人に『あなたに殺される夢を見ました』と言われて、平気な訳が無いよね。
ごめんなさい、そう言おうとして、遮られた。
「ごめんなさい、葵」
「え?」
どうして?
どうして、先輩が謝るの?
もしかして、先輩……?
「私、実はそんな事、考えてた。
他の誰かに奪われる位なら、いっその事、一緒に死ねばいい、そんな事を。
検死されたりするのが嫌だから、焼身心中にしようか、とかね」
教会で懺悔(ざんげ)するかのように、告白する先輩。
本当、だったんだ、私の夢。
現実、になる筈だったんだ、私の夢。
もし夢を見なければ、ううん、それを先輩に話さなければ。
先輩が壊れて初めて、私は予知夢だと知ったんだね。
「馬鹿だね、私ってさ。
葵の事、一番理解してたつもりだったのに、私っ!
葵も心中を望んでると、勝手に思い込んでたッ!!」
ダムが決壊したかのように、涙と想いを流す先輩に、逆に私は落ち着いてきた。
先輩がここまで思いつめるまで、想われてたんだ、私。
優しくて強い先輩が、壊れて砕け散りそうになるくらい、深く。
そう思うと、心が熱くなってきて。
「私、私、わた――んっ」
話して、良かった。そして。
話してくれて、ありがとう、先輩。
もう、大丈夫だから。まだ、大丈夫だから。
だから私は、先輩の唇をふさいだ。
触れるだけのキスは、熱いキスへと変わってく。
絡み合う舌が気持ちよくて、先輩が落ち着いた後も、しばらくキスを続けていた。
舌が疲れてきて、名残惜しく思いながらも唇を離す。
ツーっと糸を引く唾液が、キラキラ光って恥ずかしくて、嬉しかった。
「私が来たからには、もう大丈夫!
だからもう、泣かなくていいよ、先輩!!」
「……覚えてたんだ、あの時の事」
一瞬あっ気に取られ、そしてクスリと笑ってくれた先輩に、私は。
「先輩も、覚えてくれてたんですねっ」
嬉しくて幸せで、何もかもが満たされたの。
だって、あの時の事を覚えていてくれたという事は。
お互いに、出会った瞬間から、恋してたって事なんだから。
顔を真っ赤にする先輩が愛しくて、思わず抱きつくと、そのままベッドに倒れこんだ。
……まだ朝だけど、今日は休みだし。
たまには私からというのも、良いよね。
額にキスすると、私の意図が伝わって、焦る先輩。
「あ、葵?
あのさ、この体勢は何なのかな?」
「今日は休みですし、たまにはいいかなと」
「や、やっぱり?」
ますます焦る先輩が可愛くて、またキスをする。
「……いいの?」
「え?」
「だってその、私――無理心中しようと考えてたんだよ?
それなのにさ、いいのかなって」
……まだ、気にしてたんだ。
もう、先輩ってば。私はもう気にしてないのに。
「ねぇ、先輩。
悪夢は、夢で終わったんです。
それに、そこまで深く想われてたんだと思うと、胸が熱くなってきたんです」
指を絡めて、視線を交わしながら、隠したくない――ううん。
隠し切れない想いを、鈍い先輩にぶつけて。
「私やっぱり、夢で見た未来は嫌ですから。
死ぬ未来も、離れる未来も」
指を解き、先輩を強く抱き締める。
ドクンドクンと響きあう、魂の鼓動が温かくて。
「どうしても、諦められないから。
だから。
絶対、絶対に幸せになりたい!!
先輩と、ずっとずっと、いつまでも、ずっと!!」
ふと、強く抱き締めてくる、二本の腕。
伝わってくる、先輩の想い。
「ありがとう、葵。
私も、私もずっと、葵と居たい!!
おばあちゃんになっても、ずっとずっと、一緒に!!」
繰り返す。
繰り返す。
何度だって繰り返す。
満たされた心で、温かいキスを繰り返す。
何かを隠す為じゃなくて、ただ触れ合いたくて。
重ね合う。
心と体を重ね合う。
満ち足りた心で、愛し合う。
失われるからじゃなくて、ただ感じ合いたくて。
悪夢の人生方程式。
愛情∞×自由0=解:別れる定め
愛情∞÷自由0=解:壊れる定め
でも、気付いてしまえば、方程式が間違っていた。
真実の人生方程式。
愛情∞-自由0=解:永遠に変わらぬ想い
愛情∞+自由0=解:無限の可能性
永遠に変わらぬ想いが有れば、無限の可能性を生み出せる。
『離別』でも『崩壊』でも、無い、不定形な解。
運命の歯車が刻む、定められた未来。
絶望の道から、私たちは外れる事を決めた。
だって。
道無き道を歩んでこそ、本当の幸せを掴めると思うから。
サワダーテのコンパスが示す、人生航路を進んでいく。
いつの日か、私たちの新大陸にたどり着くまで、ずっと。
真実の方程式を、解き続けていくんだ、二人で!!
→二人の未来はエンドレス。
目を開けると、いつもの先輩が居た。
夢で見た先輩じゃなくて、現実の先輩。
「よ、かったッ」
夢では、目が覚めた時には、既に縛られてたから。
寮の部屋は燃えていて、逃げられないのが直ぐに分かる程だったから。
そして私の知らない先輩は、私の知らないやり方で、私に触れてきたの。
「どう、したの?」
現実の先輩は、私の知ってる先輩で。
その触れ方は、私の知ってるやり方で。
ホッっとするのと同時に、強烈な恐怖が襲ってきた。
だってあの夢は、現実になりそうだったから。
「……聞かせて、どんな夢を見たの?
話したく無かったら、無理には聞かないけどさ」
あぁ、いつもの先輩だ。
震える私の髪を、優しく梳いてくれる。
その指の感触が心地よくて、私はよりかかった。
ぴとん、とぶつかる、私の額と、先輩のほっぺ。
温かい体温が伝わってきて、堪えきれなくなった私は、一気に夢の内容を吐き出した。
「そう、そんな夢を……」
何かに耐えるような、何かを悔いるみたいな、そんな声音に、言わなければ良かったと思った。
だって、先輩を傷つけちゃったみたいだから。
先輩に甘えて、全て話しちゃったけど。
よく考えれば、恋人に『あなたに殺される夢を見ました』と言われて、平気な訳が無いよね。
ごめんなさい、そう言おうとして、遮られた。
「ごめんなさい、葵」
「え?」
どうして?
どうして、先輩が謝るの?
もしかして、先輩……?
「私、実はそんな事、考えてた。
他の誰かに奪われる位なら、いっその事、一緒に死ねばいい、そんな事を。
検死されたりするのが嫌だから、焼身心中にしようか、とかね」
教会で懺悔(ざんげ)するかのように、告白する先輩。
本当、だったんだ、私の夢。
現実、になる筈だったんだ、私の夢。
もし夢を見なければ、ううん、それを先輩に話さなければ。
先輩が壊れて初めて、私は予知夢だと知ったんだね。
「馬鹿だね、私ってさ。
葵の事、一番理解してたつもりだったのに、私っ!
葵も心中を望んでると、勝手に思い込んでたッ!!」
ダムが決壊したかのように、涙と想いを流す先輩に、逆に私は落ち着いてきた。
先輩がここまで思いつめるまで、想われてたんだ、私。
優しくて強い先輩が、壊れて砕け散りそうになるくらい、深く。
そう思うと、心が熱くなってきて。
「私、私、わた――んっ」
話して、良かった。そして。
話してくれて、ありがとう、先輩。
もう、大丈夫だから。まだ、大丈夫だから。
だから私は、先輩の唇をふさいだ。
触れるだけのキスは、熱いキスへと変わってく。
絡み合う舌が気持ちよくて、先輩が落ち着いた後も、しばらくキスを続けていた。
舌が疲れてきて、名残惜しく思いながらも唇を離す。
ツーっと糸を引く唾液が、キラキラ光って恥ずかしくて、嬉しかった。
「私が来たからには、もう大丈夫!
だからもう、泣かなくていいよ、先輩!!」
「……覚えてたんだ、あの時の事」
一瞬あっ気に取られ、そしてクスリと笑ってくれた先輩に、私は。
「先輩も、覚えてくれてたんですねっ」
嬉しくて幸せで、何もかもが満たされたの。
だって、あの時の事を覚えていてくれたという事は。
お互いに、出会った瞬間から、恋してたって事なんだから。
顔を真っ赤にする先輩が愛しくて、思わず抱きつくと、そのままベッドに倒れこんだ。
……まだ朝だけど、今日は休みだし。
たまには私からというのも、良いよね。
額にキスすると、私の意図が伝わって、焦る先輩。
「あ、葵?
あのさ、この体勢は何なのかな?」
「今日は休みですし、たまにはいいかなと」
「や、やっぱり?」
ますます焦る先輩が可愛くて、またキスをする。
「……いいの?」
「え?」
「だってその、私――無理心中しようと考えてたんだよ?
それなのにさ、いいのかなって」
……まだ、気にしてたんだ。
もう、先輩ってば。私はもう気にしてないのに。
「ねぇ、先輩。
悪夢は、夢で終わったんです。
それに、そこまで深く想われてたんだと思うと、胸が熱くなってきたんです」
指を絡めて、視線を交わしながら、隠したくない――ううん。
隠し切れない想いを、鈍い先輩にぶつけて。
「私やっぱり、夢で見た未来は嫌ですから。
死ぬ未来も、離れる未来も」
指を解き、先輩を強く抱き締める。
ドクンドクンと響きあう、魂の鼓動が温かくて。
「どうしても、諦められないから。
だから。
絶対、絶対に幸せになりたい!!
先輩と、ずっとずっと、いつまでも、ずっと!!」
ふと、強く抱き締めてくる、二本の腕。
伝わってくる、先輩の想い。
「ありがとう、葵。
私も、私もずっと、葵と居たい!!
おばあちゃんになっても、ずっとずっと、一緒に!!」
繰り返す。
繰り返す。
何度だって繰り返す。
満たされた心で、温かいキスを繰り返す。
何かを隠す為じゃなくて、ただ触れ合いたくて。
重ね合う。
心と体を重ね合う。
満ち足りた心で、愛し合う。
失われるからじゃなくて、ただ感じ合いたくて。
悪夢の人生方程式。
愛情∞×自由0=解:別れる定め
愛情∞÷自由0=解:壊れる定め
でも、気付いてしまえば、方程式が間違っていた。
真実の人生方程式。
愛情∞-自由0=解:永遠に変わらぬ想い
愛情∞+自由0=解:無限の可能性
永遠に変わらぬ想いが有れば、無限の可能性を生み出せる。
『離別』でも『崩壊』でも、無い、不定形な解。
運命の歯車が刻む、定められた未来。
絶望の道から、私たちは外れる事を決めた。
だって。
道無き道を歩んでこそ、本当の幸せを掴めると思うから。
サワダーテのコンパスが示す、人生航路を進んでいく。
いつの日か、私たちの新大陸にたどり着くまで、ずっと。
真実の方程式を、解き続けていくんだ、二人で!!
→二人の未来はエンドレス。
コメント 2
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コメント
2012/08/04 23:43
ならばその愛、文字通り永久に繋げることだ…

2012/08/06 03:42
>ならば~
コメントありがとうございます(^^♪
もちろん、二人の愛が途切れることは、有りません。
許婚などのハードルも、愛の力で乗り越えてくれる筈です。
